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2009年1月14日 (水)

無理心中は単なる殺人(中津川一家5人殺害事件)

 まずは、この記事をご覧下さい(読売新聞サイトより)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090113-OYT1T00234.htm

 この事件は2005年2月、岐阜県中津川市で、一家5人が殺害され、1人が傷害(2週間)を負った事件です。
 このように5人殺害、1人傷害と記述すると、極めて凶悪な殺人事件としか思えません。実際、世田谷一家4人殺害事件(200年12月発生)については、凶悪犯罪であって、真犯人が検挙されれば、死刑当然と考える方が、大半ではないでしょうか。 
 しかし、この事件の第1審判決(岐阜地裁2009年1月13日)は、無機懲役なのです。法律上の減軽事由はありません。具体的には、完全責任能力が認められ、心神耗弱との弁護側主張は退けられています。純粋に酌量減軽だけなのです。
犯行動機は、実母が妻に嫌がらせ(嫁と姑の争いのたぐい)をするので、実母殺害を決意したというものです。そのような動機から、実母を殺害したことは理解できます。
 しかし、実母に加えて、被告人長男、被告人長女とその子供2人(被告人から見れば孫)を殺害し、長女の夫に傷害を負わせているのです。
 判決では、
 「母親への憎悪をきっかけに一家無理心中を図った事案であり、動機には一抹の酌量の余地がある」
 としていますが、この事件のどこに酌量の余地があるのか、理解不能です。
 そもそも、無理心中とは、他殺+自殺であって、心中ではありません。単なる殺人です。他人を自殺の道連れにしただけであって、極めて利己的な犯罪です。しかも、本件は、2歳、生後21日の乳幼児まで道連れにしているのですから、その罪責は重大です。
おそらく、検察官側は、控訴するでしょうから、最終的にどのような判決になるとしても、判決確定までには、しばらく時間がかかりそうです。そうすると、現在の被告人の年齢(61歳)から計算すると、仮に無機懲役が確定したとしても、実質的には懲役15年程度にしかなりません。
 この事案が、裁判員制度の下で裁かれていたら、どうなっていたのでしょうか。報道の「心中」という表現に惑わされることなく、義理人情論、感情論に左右されることなく、犯罪結果にふさわしい判決が出来るのでしょうか。
 「哀れな老人が切羽詰って行った犯罪で、自殺を図ったが、死に切れなかった。だから寛大な判決を」
 そのようなものが、市民感覚なのでしょうか。この判決を言い渡した裁判官が、そのようなものが市民感覚であることを意識していたとしたら、市民感覚のドグマにはまっているとしか、いいようがありません。
 この事件を題材に、模擬裁判を行ってもらいたいところです。

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