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2010年7月31日 (土)

握手券は有価証券か?(私文書偽造と解する)

 面白い記事を見つけました。AKB握手券の偽造事件に関するもので、検察側は握手券を有価証券と考えて、有価証券偽造罪で起訴したのに対して、弁護側は、有価証券に当たらないとして、無罪を主張しているとのことです。詳細は、下記朝日新聞サイト参照願います
 http://www.asahi.com/national/update/0730/TKY201007300506.html

 この問題を考えるにあたり、有価証券の定義を示しておきます。有価証券の定義には、刑法上のものと、商法上のものがありますので、一応両者をご説明します。
 

 商法:私的財産権を表象する証券であって、その権利の発生、移転、行使の全部または
    一部に証券を必要とするもの
  刑法:財産上の権利が表示され、その権利の行使に証券の占有を必要とするもの

 要は、刑法上の有価証券のほうが、範囲が広く、商法上の有価証券はもとより、乗車券、馬券のようなものも含まれます。
 さて、では握手券はどうでしょうか。「財産上の権利」が表示されているかどうかにかかわります。
 そもそも、握手券を持参することで得られる利益は、AKBのメンバーとの握手です。従って、握手が財産上の権利がどうかを考える必要があります。
 確かに、刑法上の有価証券は、流通を予定していないので、券面額ということは考えづらい部分ががあります。しかし、入場券、乗車券を考えればわかるように、刑法上の有価証券においても、客観的に金銭評価可能な価額があります。すなわち、遊園地の入場券であれば、大人3000円とか、乗車券であれは、230円区間のように、誰が見ても評価可能な金額が存在します。
 これに対して、握手券は、弁護側主張のように、あくまでもCDのオマケであって、それ自体に、客観的な評価可能額がある訳ではありません。もしそうなら、CD価格+握手券の価格で、販売されていなければ、おかしいはずです。
 もちろん、CD限定版には、コンサートチケットが無料で付くような場合もあるでしょう。しかし、その場合でも、コンサートチケット自体は、別売りで販売されているのですから、入場券を無料プレゼントしたと解することになります。
 従って、CDとは別に、握手券が販売されているなら、握手券を有価証券と考えることも出来るでしょうか。しかし、そのような事実はないのですから、やはり単なるCDのオマケと考えるのが妥当ではないかと思います。
 そうすると、握手券は文書と解されますので(有価証券偽造は文書偽造の特別規定)、私文書偽造罪が成立すると解されます。すなわち、私文書偽造にいう「事実証明に関する文書」は、判例により、「社会生活に交渉を有する事項を証明する文書」と、広く解釈されていますので、握手券は、この事実証明に関する文書には該当すると考えて差し支えないかと思います。ただ、この点も、学説のように、権利義務に関するものに準ずるものと、狭く解すると、弁護側主張のように、無罪の可能性も有り得ます。
 それでは、私文書偽造が成立するにとどまると解した場合に、もし検察側が有価証券偽造に固執した場合はどうでしょうか。
 この場合、いわゆる縮小認定しても良さそうですが、私文書としての要件(事実証明に関する文書)の立証が欠けるので、縮小認定は認められないと考えられます。
 よって、検察側は訴因変更することなく、有価証券偽造に固執した場合は、無罪判決となるものと解されます。
 本日は、以上です。

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